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連続イオン再生式イオン交換技術の原理

1. 連続イオン再生式イオン交換技術の原理
 

連続イオン再生式イオン交換法(Electro Deionization)は、電気透析法とイオン交換樹脂法の2つの確立された浄水技術を結合した技術で、一般的に「EDI」と言われます。

EDIの一つのセルは、右図のように、イオン交換樹脂で満たされた精製室、陽イオンを通し、陰イオンや水を通さないカチオン交換膜、陰イオンを通し、陽イオンや水を通さないアニオン交換膜、カチオン交換膜とアニオン交換膜に挟まれた濃縮室からなります。このセルを複数個結合し、両側に直流の電圧を加えます。複数のセルと電極が組み合わさった物をEDIモジュールといいます。

RO等で処理されたフィルターろ過水は、精製室に導入されると、イオンはイオン交換樹脂で吸着され、印加された直流電位の力で精製室から濃縮室に向けてイオン交換膜を通って移動されます。そして、水が精製室内を移動するにつれ、イオンが取り除かれていきます。取り除かれたイオンは、濃縮室を通って濃縮水として排出されます。

このように、精製室中のイオン交換樹脂は、印加された直流電圧の力で常にイオンを放出しながら「フレッシュ」な状態を保ち続けるため、この技術を「連続イオン再生式イオン交換技術」と呼んでいます。

2. EDIモジュールを使用した水処理装置の利点

・安定した水質の水を、連続的に精製することが出来ます。
ROろ過水水質にもよりますが、15MΩ・cm以上の超純水も連続的に安定して精製可能です。

ž・EDIモジュールは、再生のために化学薬品を必要としません。
イオン交換樹脂の化学薬品による再生処理が不要です。

ž・ランニングコストが安価です。
イオン交換樹脂が電気的に連続再生されるため、ランニングコストが安価になります。

ž・精製水の微生物汚染が最小です。
処理は電圧のかかった状態で実施されるため、環境的に微生物汚染される可能性が低くなります。(完全に殺菌が必要な場合は、後工程にUV等の殺菌装置が必要です。)

 

3. EDIモジュールで留意する点

EDIモジュールの中の濃縮水には、カチオン交換膜、アニオン交換膜を通して陽イオンや陰イオンが集まります。一般的に精製室と濃縮室に流れる水量は10:1ですから、濃縮水には最終的にフィルターろ過水の11倍のイオンが流れ込むことになります。

通常、RO膜処理する前の水には硬度成分(カルシウムイオンやマグネシウムイオン)や炭酸イオンが含まれます。RO膜処理をすれば、これらの98%以上は除去されますが、EDIの濃縮水にはこれらのイオンが濃縮されて集まるため、特にアルカリ性領域で、硬度成分が炭酸イオンと結合して炭酸塩となり、これがスケール成分となってファウリングを発生させる場合があります。

また、日本では地域によりシリカ成分が多く、シリカ成分もスケール発生の原因になります。特に地下水は、硬度成分、シリカ成分、炭酸ガス成分が豊富に含まれている場合が多く、注意が必要です。一般の市水でも地下水が原水の場合が多いため、装置導入の前には必ず使用する原水の水質分析が必要になります。

これらのスケール成分の発生を抑えることで、EDIモジュールの寿命を長くすることが出来ます。

また、EDIモジュールのろ過水質は、EDIモジュールに導入される水の水質によって大きく影響されます。使用される水質に合わせたRO膜処理を含めた前処理が非常に重要です。

 

4. 当社の使用するEDIモジュールの特長
 

当社は米国SnowPure社のElectropureTM XLシリーズのEDIモジュールを使用しています。このEDIモジュールは以下のようなユニークな特長を持っています。

(1)   薄いセル技術

一つのセルは、アニオン交換膜、イオン交換樹脂で満たされた精製室、カチオン交換膜、濃縮水室から成ります。このセルの厚みはElectroPureTMのEDIモジュールでは4mm(他社は10mmが多い)で、厚みが薄くイオンが濃縮室に排出されやすい構造になっているため、より高い効率と水質を実現できます。

(2)   薄い濃縮室技術

ElectroPureTMのEDIモジュールは、非常に厚みの薄い濃縮室(厚さ0.7mm)を使用しています。イオン交換膜の膜面は乱流を発生させる構造になっており、このことにより常に膜表面が洗浄されpHの偏りをなくすので、膜表面へのスケール発生とファウリングを防ぐことが出来ます。

また、濃縮室が薄いため、直流電流の電流値を低く保つことが出来ます。

他社では、濃縮室にイオン交換樹脂を充填する方法が見られますが、この方法は長期的な使用に問題があるため採用していません。

(3)   電極の非ファウリング技術

ElectroPureTMのEDIモジュールは電極水の流し方を工夫し、常に電極を酸性に保つことでスケール発生を防止しています。

具体的には、電極水は、まず陽極側の電極室に流されます。ここではpHは酸性になり、O2とCl2が発生します。この酸性水を陰極側の電極水として流します。この区画では最終的にpHは中性になり、H2が発生します。このため、電極室中でpHが高くならないのでスケール発生が抑えられます。

また、陽極には特殊な電極を使用しており、EDIモジュール自体の寿命を長くしています。

 

 
5. EDI供給水の前処理技術

EDIの供給水はRO膜の透過水が用いられます。しかし、原水濃度のある成分が高濃度でRO膜処理だけでは必要濃度以下にならない場合もあり、その場合は別の処理が必要です。

(1)   炭酸ガスの除去

一般的に地下水には炭酸ガスが豊富に(場所によっては500ppm以上)含まれています。炭酸ガスは存在する水のpHによりCO2(炭酸ガス)、HCO3-(重炭酸イオン)、CO3²-(炭酸イオン)の形状に変化します。イオンの形状になればRO膜でも除去可能ですが、炭酸ガスの形状ではRO膜を通過し、RO透過水中でイオン化され、EDIモジュールの負荷が大きくなり、EDI透過水の水質低下や、硬度成分と結合しスケール発生の原因となってEDIモジュールの寿命を低下させます。

炭酸ガス成分を除去するためには、水のpHを9.5以上にして炭酸ガスをすべてイオン化させれば良いのですが、装置が大がかりになり初期コストもランニングコストもかさみます。

当社の連続イオン再生式イオン交換装置では、オプションでRO膜とEDIモジュールの間に脱炭酸膜装置を入れて、炭酸ガス濃度を低下させる技術を保有しています。一般的に水をRO膜に通すと、pHは低くなるので、脱炭酸膜装置で炭酸ガスを除去することが容易になります。

脱炭酸膜装置は薬剤を使用しないため、導入後の管理も楽になり、ランニングコストも抑えることが出来ます。

(2)   豊富なRO膜ラインアップ

RO膜にはたくさんの種類があり、硬度成分除去に優れたRO膜、シリカ除去に優れたRO膜、等々豊富な種類のRO膜があります。当社では、原水水質に合わせて適切なRO膜を提案いたします。

適切なRO膜を採用することで、前処理用の薬剤が不要になりランニングコストを押さえることが出来ます。

 

参考文献

OEM Technical Manual ElectropureTM XL Series EDI Version 2.8.0